彼の優しさ
「…確かに居た。ッ!!まさか、」分かったか。
「私がそうです。」一旦場が静寂が訪れる。
「…そうか。」懐かしさなのか、結城の父親は溜め息にも似たそれが出た。
「あの時の藍は『ゆーお兄ちゃん』が居る、居ないで一喜一憂はハッキリとしていた。今、思えば藍にとっての初恋は君だったのかもしれない。」独り言に聞こえた。…俺自身はその言葉かなり嬉しい事だが、俺が欲しいのは《今の》結城な訳で…。
「彼がなぜここに居る理由は分かりましたね?では話を戻します。」脱線の兆しが見えたのか、当主が言うと、
「先ずはあなたたちはこれからどうしたいのですか?和解?それとも決別?」……まぁ、結城自身としては和解なんてあり得ない!! なんて言いそうだが。
「勿論、和解を望んでいます。藍の性格からすると相当困難な道なのは重々分かっています。」結城の父親が答えた。
外からノックが聞こえて「颯斗、お帰り」と当主が言うと扉が開くと当主のご主人が居た。
「ただいま。」と言うと前当主から
「医者からの判断が欲しい。颯斗君はストレス性胃炎やストレス性のアレルギーがある場合、完治は可能か?」