彼の優しさ
スマホが留守番電話サービスの自動音声が聞こえて母親の声がスマホ越しに聞こえて来た。
『藍、話を聞いて?お母さんはこんな事になるとは思わなかったの。藍お母さん達を許して…』別に話したい事が有ったみたいだけど、録音の時間が過ぎて途切れた。
──何が『こんな事になるとは思わなかったの。』よ。約束を守った事も無い癖に、何を言っているんだか。
スマホの留守録を直ぐに消した。
気を取り直してもう夕飯を食べようと思ってわたしは立ち上がると、キッチンに向かった。
ー翌日ー
バイトから帰ると、正面玄関に両親が居た。
マンションは帰宅ラッシュの為にちらほらと人が居る。…ここで言い合うと後で始末に悪い。
「…藍」この人たちは暇なのだろうか?
…『仕事だ』とわたしを放っておいて何を今さら…。
「…5分だけ言い分を聞くよ。…その代わりもうわたしの回りをうろちょろしないでくれる?それでもいいなら家に上がって。」そう言うと正面玄関を通り、エレベーターに向かった。