もう一度さよならを言うために
第1章 プロローグ
煙草に火を点ける。煙を吐く。
仕事が片付いた夜。何も考えたくはなかった。
最近ひどく眠れない時がある。
気がつけばもう三十歳を越えた。

感傷的になるつもりはないが、時間というのは速いと感じるようになった。


人はいつか死ぬ。誰もがいつか死ぬ。
だから、思いを残してみる。

自分が通ってきた道を。
どんな思いをして通ったか。

そして、
それは
これから通る道のために。
そんなことを考えていたら煙草が短くなった。
煙草を消す。

思い返してみる。



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