あまのじゃくな私が恋をした

美雨を追いかけようと振り向けば、真斗さんが美雨に声をかけている。

それを見ていた男が私に近づき突然、背後から

「ちゃんと聞き出せたら‥ご褒美やるぜ」

と耳打ちする。

不意打ちの耳元での息づかいに…
耳に何度もこだまするセリフに…

私は淫らな想像を膨らませてしまった。

思わず赤面する私に男はワザと耳元でチュッと音を立てた。

顔を赤らめたまま大也を見ればニヤリと笑い、その笑顔は女心を鷲掴みにするようななんとも言えない色気を漂わせていた。

すでに、心の奥底で男に惹かれ始めていた私にはその表情は虜になるのに充分だった。

一歩リードしたと思っていたはずなのに
男は、私の二歩も三歩も先を行く。

素直に認めよう…
私は、恋に落ちた。

その瞬間、勝負に負けたのだ。
どんなに足掻いても先に好きになった方が不利だとわかってる。

今まで相手にしてきた男達と違い、一枚も二枚も上手な相手に私は勝てるのだろうか?

だけど…負けたくない。
せめて引き分けにしたいから私はあきらめない。

私には、美雨という切り札がいる。

例え、卑怯だと言われてもいいからシスコンのあなたの弱点を突く。
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