あまのじゃくな私が恋をした
その表情でその甘いセリフは反則。
いや‥
勝負なのだから反則じゃないのか⁈
同僚達は、その甘いセリフと表情にノックアウト寸前。
キャー、キャー頬を染め手を取り合って浮かれている。
そんな彼女達の騒ぐ声のおかけで、私は逆上せそうになる手前で踏み止まれる。
「……えみり⁈」
あなたがそうくるなら、私だって…
大也に駆け寄り抱きつく。
「私も逢いたかった…」
同僚達が見ている手前、言葉を選んでしまった。
胸に抱きついた私を片腕でぎゅっと抱きしめ、一方の手が私の頬を撫で顎を捉えてクイっと上向きにさせると視線が絡む。
その瞳は先ほど見せた甘い雰囲気とは違い、何かを企んでいる瞳だった。
フッと笑い、男の口角が上がる。
瞬間…
おでこに温かい温もりが落ちて消えていった。
……⁈
「…会いにきてよかったよ」
同僚達の前でやってくれた‼︎
背後でキャーと叫んでいる同僚達。
この男…みんなが見ている前でデコチューするか⁈
睨みつけても平然として微笑み、手を繋いでくる。
確信犯だ…
明日から同僚達の冷やかしのネタを増やしているのだ。
もう、こうなったら仕方ない。