あまのじゃくな私が恋をした
ワザと顔を近づけてきて鼻先が触れる距離で満面の笑みを浮かべた。
「海でのキ…ッス」
ボッと頬が赤らむ。
膝が崩れ落ちるぐらい濃密だったキスを思い出してしまった。
「ちょ、ちょっと待って…よ。あのキスは勝負前だからカウントするのおかしいわよ」
「お前にキスした時点で勝負は始まってる…根をあげてキスから逃げ出したお前の負けだろう⁈その後で俺が何って言ったか思い出せよ」
確か……『…俺をメロメロにするんだろう⁈唇の感触はいいが…俺が離せなくなるようなキスを覚えろ』
って言ってような気がする。
思い出した瞬間…唇に落ちてくるキスは
甘く啄み、何度もチュッチュッと音を立てて淫らに聞こえる。
唇に触れる温もりと音が体の奥底をジーンと刺激する。だけど焦れったい動きにもっと、と服を掴みせがんでしまう。
男からフッと笑みがこぼれ、開いた唇に
舌を差し込まれ歯列をノックするだけ…
もっと強引に奪ってほしいのに…焦れったいキスはそれ以上してこない。
…離れていく唇を追いかけ夢中で唇を塞ぐと自ら男の舌を絡め口内を刺激した。
今だに繋いでいる手のひらにぐっと力が入り、男の片方の手が腰から上にかけて背をなぞる。