あまのじゃくな私が恋をした
「そんな顔、誰にも見せんなよ。大抵の男はつけあがる。まぁ、俺はなんとも思わないがな」
甘いセリフを言ったと思ったのにグサッとトドメを刺す。
「……どうでもいいけど、いつまで手を繋いでいるの⁈」
傷ついてるなんて知られたくないから話をそらした。
「………いいのか⁈…離せばお前の負けだぞ」
急に機嫌が悪くなりぎゅっと手のひらに力が入る。
まるで『手を離すなよ』って言ってるみたい。
「これも勝負だったの⁈…」
「あぁ……」
「……」
どんな場面でも勝負か⁈
あなたがそう言うならいいわよ。
負けないんだから……
ぎゅっと握り返し微笑む。
「手を繋いでどこに行くの⁇」
「……お前、飯まだだろう⁈」
「うん」
「奢ってやる……」
ーー
ーーーーーー
手を繋いで向かった先は、表通りから少し外れた居酒屋。
赤提灯が目につく小さなお店。
暖簾をくぐり入っていくと
「いらっしゃい……おっ、大也が女連れか。初めて連れてきたなぁ…どんな関係⁇」
カウンターの奥にいる店長さんらしき人が男をからかう。
「余計なこと言うなら他の店に変えるぞ」
それは、誰に言ってるの⁈
店長さん⁇
それとも私⁇