あまのじゃくな私が恋をした
「さすが…お兄さまね」
ちょっとからかい口調で大也を見た。
「ふん…お前の魂胆丸分かりだ。しばらく、静観してやる」
ちぇっ…バレてたのね。
ぺろっと舌を出した。
「ガキ…」
ボソッとつぶやく男の声は、親しみを込めて言ってるように聞こえた。
「ふん…どうせガキですよ…私の天婦羅まだかな?」
持っていた箸で円を書いていじけながら
つぶやき返した。
大也が急に席を立ち、カウンターの奥へ行く通路を通って奥にある調理場に行くと、しばらくして天婦羅の盛り合わせを1つ持って席に戻ってきた。
「ほら…食え」
「大也さんのは⁇」
「あいつ、オーダーでてんてこまいになってるから1つだけにしてきた」
「そうなんだ…大也さんありがとう。お礼に好きなのあげるね。どれが好き?」
「……カボチャ」
「カボチャ好きなんだ。サラダもカボチャだもんね」
箸でカボチャを摘み、男の取り皿にのせようとするがいたずら心が湧いた。
「……はい…あーんは⁈」
男の口までカボチャの天婦羅を運ぶと、
拒否ると思えた男が…笑みを浮かべ口を開いた。
あれ⁈
思っていた反応と違う。
「……うまいな」