あまのじゃくな私が恋をした
「ほら…これ全部やるから機嫌直せよ」
天婦羅の盛り合わせのお皿を目の前に差し出された。
「……さっき、私にくれたんじゃなかった⁈」
「そうだったか⁈お前のとは言ってないぞ…一つだけもらってきたとしか言ってないけどな」
「……もう…いじわる…」
確かに、私のまだかなぁって言ったから勝手に勘違いしたわよ。
「今さら気づいたのか⁈」
「………ふっふふふ」
「……怒ったり、拗ねたり、笑ったり忙しい奴だな」
「だって…意地悪なの‥…自分で‥わかってたんだ」
笑いが止まらない。
「なぜか、お前限定だけとな」
「……⁈」
えっ…今のどう言う意味⁇
少し、期待していいのかな⁈
「ガキは、すぐに調子にのるから飴と鞭の使い分けだ」
「あっそ…」
自分でそんなこと言っちゃう⁈
期待して馬鹿みたい。
口を聞くのも疲れちゃった。
何か言いたげな大也を無視して気まずい雰囲気の中、ただ黙々と目の前のご馳走を食べた。
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「ごちそうさまでした」
ただ一言だけ……
男を見ずに立ち上がり忙しそうな店長に頭だけを下げて店を出た。