あまのじゃくな私が恋をした

近づけたと思っても突き放される。

この数時間で身に染みてしまった。

大也を振り向かせるなんて無理なのかなぁ⁇

この勝負は、最初から負けてる気がしてならない。

だって…
私ばかりが好きで…どんどん好きな深さが増すばかりなんだもの。

だから…突き放されると傷つく。


とぼとぼと歩いていると後ろから肩を掴まれる。

「待てよ…送って行く」

突き放したならそのまま放っておいてよ。今の私に優しくしないで…感情がコントロールできない。

「……」

返事もせずに私は歩き出すと大也は、私の後を一定の距離を開けてついてくる。

ついてこないでよ。

心の奥底で叫んでいるのに…
追いかけてきてくれたことが嬉しくて、好きな気持ちが増えていく。


スキ

好き

大好き


何度も呪文のように言葉を紡ぐ。

ーー
ーーーーーー

気がつけば私の住むコーポ前

階段を登り部屋の前で足を止めて振り向くと、まだついてきていた男。

「……ありがとう、…おやすみ」

視線をそらして送ってくれたお礼を言うと鍵を開けて部屋の中に入った。

……

締まらないドアを見れば、男がドアを押さえ中に入ってくる。


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