あまのじゃくな私が恋をした
「ありがとう…助かる」
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診療時間が終わり、先輩達に連れられて
向かった先は《コンフォルト》ダイニングバーだった。
奥にあるボックス席では、既に合コン相手の男性陣が待っていた。
自己紹介もそこそこに終わり、各自てんでんに話に盛り上がっている。
相手は、どこかの商社マンらしいが大也のことで頭がいっぱいの私には、どんないい男でも目に入らない。
つまんない。
連絡がないかスマホの画面を何度も見てしまう。
「きみ…つまんなそうだね」
隣に座っていた男が話しかけてきた。
「まぁ…突然、人数不足の穴埋めに連れられてきたので……」
「ふーん…さっきからスマホばかり見てるけど、帰りたいの⁈それとも…誰かからの連絡待ち⁈」
そのどちらもです…
一応、場の雰囲気を悪くしないために曖昧に笑った。
勝手に前者だと勘違いした男は、急に肩に手を回してきて体を密着させてくる。
…………。
下心丸見えな男は、耳もとで
『一次会終わったら2人で抜けよう』
大也と出会ってなければ頷くところだけど…
彼氏でもない男だけど好きな男だから…
自分の心を裏切りたくないとはじめて思ってしまった。