あまのじゃくな私が恋をした

「何をしてたかって…彼女の首筋を見ればわかると思うが…」

勝ち誇るように私の首筋をスーと人差し指でなぞり、つけた痕の上で止まる。

そして、その指がデコルテにある消えかけた痕をさがして首筋をなぞるように滑って襟刳を少し下げると…

「……ぁ…」

「……フッ‥これは、数日前の痕だよな…えみり」

突然、名前を呼ぶ男の声と指に頬が染まる。

男は、自分からふっかけた話題にもかかわらず唖然としている姿は、まさか、何食わぬ顔で平然と目の前でやり返されるとは思ってなかったようで言葉がないようだった。

立ち尽くす男に
「まだ、何かようか?」

「……」

「ないなら‥消えろ」

最後の言葉は怒ったように叫んだ。

ビクついた男は、チッと吐き捨て元いた席に戻って行った。

その隙に帰ろうとするも大也に捕まり、カウンターの奥へ連れて行かれる。

そこには、楽し気に笑う悠ちゃんさんが待っていた。

「えみりちゃん、久しぶり……」

何か言おうとしたのだろうが、大也のただならぬ雰囲気に言葉を飲み込み笑みを浮かべただけだった。

「座れ…」

手を掴まれ、カウンターの椅子に誘導され仕方なく座ったけど…
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