あまのじゃくな私が恋をした
掴まれたまま部屋の中へ入っていくから履いていたヒールは、廊下に転がる。
ドアを開ければ、暗い部屋の中を照らす月の光がベッドを照らす。
まるで導くように青いシーツが妖しく照らされていた。
ベッドに放り投げられ、倒れる体の上に男が覆いかぶさる。
「……やっ……やめてよ。んっ…あっ…やぁ……ッ」
腕を押さえつけられ怒りをぶつけるように荒々しいくちづけに唇が切れた。
鉄の味がするキスに涙が溢れる。
頬を伝う涙に気づいた大也が涙を拭った。
「わかったか⁈どんなに抵抗したって男の力には叶わない」
「…わかってるわよ」
「……お前は、何もわかってない。俺があの時どんな気持ちでいたかなんてわかってない」
「……」
優しく頬を撫で愛しいものを見るような眼差しに心が高鳴っていく。
「……あの時って?」
「…………俺との勝負を忘れて俺がいることにも気づかずに他の男といる女を許せるほど……俺は心が広くないんだ」
…………
「だから……俺は、お前を許さない」
「……」
そう言った男は、再び唇にキスをしてきた。
許さないと言った言葉とは裏腹で今度は、優しく甘いくちづけが…落ちてきた。