あまのじゃくな私が恋をした
考えぬいた…
お前の全てを落とすために俺は、焦らすことにした。
きっと、お前は計画通りに運ばなくて焦っているだろうなぁ…
突然、会いに行ったらお前はどんな反応をする…眼に浮かぶ光景に頬が緩む。
彼女に会いたくて…
今日、約1週間ぶりに彼女に会えると思うと焦らしていたはずの俺なのに、彼女に早く会いたくて足取りが速くなる。
そうなんだ…
結局、俺の方が限界だったんだ。
郊外にある俺の勤める大学病院から彼女の歯科医院まで、電車で20分、歩いて10分程の距離がすごく長く感じる。
間に合うだろうか⁈
いや‥間に合わせる。
そのために、今日の診療を時間通りに終わらせ夜間当番もずらしてきた。
そうそう、大きな事故で顔面骨折じゃない限り呼び出しはないが、念には念を入れ彼女との時間を邪魔されないために手を打ってきたんだ。
ちょうど、医院から彼女が同僚達と出てくる。
スマホの画面を見つめため息をついている彼女は、俺からの連絡を待っていてくれたのだとしたのなら……嬉しい…
さぁ…
始めよう……
「えみり…」
彼女の名前を呼んだ。
「大也さん⁈」
クスッ…
語尾が上がっている。