あまのじゃくな私が恋をした
彼女の手をとり、手を繋いだ。
「大也さんたら…みんな見てるのに…」
恥ずかしそうにうつむいているが、瞳が怒っている。
笑いが漏れてしまう。
えみりは、しおらしい演技に限界がきたようで、同僚達と挨拶をしそうそうにその場を離れようとする。
人気がなくなった場所まで来ると耐えきれなくて笑いが止まらない。
「今の勝負、俺の勝ちだな…」
そうだろう⁈
お前は勝負から耐えきれなくて逃げ出したんだから……
すでに、一度、お前は海での俺とのキスから逃げだしている。
2度も逃げ出した彼女に文句は言わせない。
唇を甘く啄み、わざと何度も音を立てて彼女から求めてくるように…
彼女を誘惑する為に俺らしくない甘いセリフも自然と出てくる。
そんな自分に、ブレーキをかけてしまうのも、堕ちて行く俺を気づかれたくないから‥…
繋いだ手だけが、今の俺たちを繋ぐ。
「……どうでもいいけど、いつまで手を繋いでいるの⁈」
そっけない態度に
「………いいのか⁈…離せばお前の負けだぞ」
そう言えば、離れないってわかっている
から…
「これも勝負だったの⁈…」
と聞いてくる彼女の手を
離したくないから‥…ぎゅっと握る。