あまのじゃくな私が恋をした
「………話の内容によるな」
俺の精一杯の強がりだ。
頬を膨らませ睨んでくる姿は見慣れたが、今は一段と愛しく感じる。
その両頬を摘んで上下に揺らす。
かわいい…顔が崩れてしまう。
それさえもかわいい…
「さっさと言え…」
その手を払いのけ痛い頬を摩り、痛さをアピールする。
「もう、痛いな…」
もう…どんな仕草も愛おしい。
「手加減したぞ。早く教えないと次はアザが残るかもな⁈」
このまま連れ去りたい。
人の気も知らないで、無邪気な彼女に苛立ってくる。
そこへ店主が料理を出してきて
「大也の好きな物ばかりだけど、えみりちゃんが食べたいものあるなら作るよ」
えみりちゃんだぁ⁈
俺だってきっかけがないとなかなか呼べないのに、こいつも俺の反応を楽しんでいる。
えみりもまんざらでもなさそうだし、おもしろくない。
「お前、後で覚えておけよ」
「何が⁇」
「俺を落とすっていいながら、他の男に色目使いやがって…」
⁈
俺…何言ってるんだ⁈…
やきもち焼かないでよと言うえみり。
「…ハァ?やきもち⁈…どこから都合のいい解釈になったんだ⁈ガキのくせに一丁前に色気づいてんなって言ってるんだ」