敏腕社長に拾われました。

人を見た目だけで判断するのはやめよう。ああいったイケメンで優しそうな人のほうが、裏の顔があるってことがわかっただけ良しとしなくちゃ。

なんて意味不明なことを考えながら二歩三歩と歩いて行くと、突然後ろから右腕を引かれ体のバランスを崩す。そしてそのまま後ろに倒れそうになって、その体を抱きとめられた。

「あっぶないなぁ~」

もちろん私の身体を抱きしめているのは、高級車から下りてきた彼。

「危ないって。そっちが急に腕を引っ張るから倒れたんでしょ!」

「はいはい、文句は後で聞くから。まずは乗った乗った」

彼は私の膝裏にスルッと腕を差し入れると、ヒョイッと身体を抱き上げる。

「ちょ、ちょっと! 何するんですかっ」

「うん? ゴミ掃除」

「またゴミって言った! 私はゴミじゃないんですけど」

「キミ、ちょっとうるさいよ。黙ってて」

黙ってて? なによ、偉そうに。この状態で黙ってる女がいたら、お目にかかりたいもんだ。

「今すぐ下ろして」

「ヤダね」

「私をどうする気?」

「さあ、どうして欲しい?」

「だから下ろしてって言って……うぐっ!!」

と突然苦しくなってしまったのは、ジタバタする私の唇に柔らかいものが触れたから。でも目はバッチリ開いてるから、それが何かはすぐに分かるというもので……。




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