敏腕社長に拾われました。
先週この部屋に来た時は何もなかったデスクの上には、パソコンやファイルなどが用意してあった。引き出しを開ければほとんどの文房具が揃っていて、それらはステイショナリーと言った方がいいお洒落なものばかり。

さすがは宮口さん、センスがいい。

でもこれに見合う仕事ができるだろうかと少々不安にもなったりして。

椅子に腰を掛けチラッと宮口さんを方を見ると、こっちを凝視している彼女とバッチリ目が合う。

あはは、顔が引きつるんですけど……。

ゆっくり目線を外すと、デスクの上に突っ伏した。

宮口さんも私を見てる暇があったら、仕事すればいいのに。と、ちょっと上から目線的なことを言ってみたりして。

こんなことで憂さ晴らしをする自分に呆れていると、秘書室の出入口のドアと反対側にあるドアが開く音がして顔を上げた。

「おはよう、諸君。今週も頑張っていこう!」

秘書室の雰囲気と完全に違うテンションで、虎之助社長登場。

永田さん宮口さん長坂さんとひとりずつ挨拶をしながらデスクを回り、虎之助が笑顔を振りまくと、秘書室の空気が変わっていくから不思議。

虎之助は虎之助なりに、何かを考えて行動してる? まさかね。

今朝はベッドに潜り込まれたり死んだフリされてかなり頭にきてたけど、今は虎之助のその脳天気さが羨ましい。



< 106 / 248 >

この作品をシェア

pagetop