敏腕社長に拾われました。
公園の中を突っ切り、浩輔が帰ってるであろうアパートを目指す。最悪帰ってなかったとしても、少し待てばいいだけの話。私がアパートの前に立っていたって、五日前まで住んでいた私を、他のアパートの住人は不審者だと思わないだろう。
公園を抜け路地を入って行くと、緩やかな坂道に差し掛かる。アパートはこの坂道の中腹辺りにあって、あと五分も歩けばその姿が見えてくる。
少し息を切らせながら歩いて行くと、浩輔と暮らしていたアパートが目に入ってきた。
「あ。やっぱり浩輔、帰ってきてる」
ベランダの窓から明かりが漏れていて、浩輔が部屋にいることを教えてくれる。
二階の一番奥の部屋目指して階段を登ると、今から行くはずの部屋から誰かが出てきた。
「よっ智乃、お帰り」
「あぁ、ただいま……」
出てきたのは、元カレの浩輔。なぜか普通にお帰りの挨拶をされて、わけもわからないまま『ただいま』と返してしまう。しかも浩輔の顔は満面の笑みを湛えていて、五日前私を『ウザい』と追い出した時の顔はどこにも見当たらない。
「ベランダの窓から智乃の姿が見えてさ、居ても立ってもいられなくて迎えに出ちゃった」
そう言いながら私のところまで来ると、当たり前のように肩に腕を回して私を抱いた。
これが捨てられる前の出来事だったら、どんなに嬉しい事だったか。でも今は嬉しいどころか、嫌悪感が沸き上がってくる。
ここに来たら荷物だけ渡されて『はい、さようなら』と永遠の別れを描いていたのに、これは一体どういうことなの?
公園を抜け路地を入って行くと、緩やかな坂道に差し掛かる。アパートはこの坂道の中腹辺りにあって、あと五分も歩けばその姿が見えてくる。
少し息を切らせながら歩いて行くと、浩輔と暮らしていたアパートが目に入ってきた。
「あ。やっぱり浩輔、帰ってきてる」
ベランダの窓から明かりが漏れていて、浩輔が部屋にいることを教えてくれる。
二階の一番奥の部屋目指して階段を登ると、今から行くはずの部屋から誰かが出てきた。
「よっ智乃、お帰り」
「あぁ、ただいま……」
出てきたのは、元カレの浩輔。なぜか普通にお帰りの挨拶をされて、わけもわからないまま『ただいま』と返してしまう。しかも浩輔の顔は満面の笑みを湛えていて、五日前私を『ウザい』と追い出した時の顔はどこにも見当たらない。
「ベランダの窓から智乃の姿が見えてさ、居ても立ってもいられなくて迎えに出ちゃった」
そう言いながら私のところまで来ると、当たり前のように肩に腕を回して私を抱いた。
これが捨てられる前の出来事だったら、どんなに嬉しい事だったか。でも今は嬉しいどころか、嫌悪感が沸き上がってくる。
ここに来たら荷物だけ渡されて『はい、さようなら』と永遠の別れを描いていたのに、これは一体どういうことなの?