敏腕社長に拾われました。

「智乃ったらさぁ、五日も帰ってこないから心配したぞ」

何言ってんの?

「ちょっとした冗談でやったのに、真に受けちゃったとか?」
冗談? 真に受けちゃった?

「俺には智乃しかいないって、わかってんでしょ?」

そんなのわかるわけない。

さっきから聞いてれば、何勝手なことばかり言ってるの? 自分がしたことがどれほどのことなのか、浩輔はわかってない。全然わかってない!

こんなところに一秒だって居たくない。さっさと荷物を片付けて、虎之助のマンションに帰らなくちゃ。

黙ったまま立ち上がると、ベッドの奥のクローゼットへと向かう。

「おい、どこ行くんだよ!」

浩輔は今までとは明らかに違う少しイラッとした声で叫ぶと、立ち上がって私の腕を掴んだ。

「離して」

「ヤダね。どうせ智乃、俺に抱かれに来たんでしょ? だったらお望み通り抱いてやるよ」

浩輔は意味のわからないことを言うと、私の腕を無理やり引っ張ってベッドへと投げ飛ばす。

「何するのよ!」

「何するって? 男と女がベッドの上ですることなんて、ひとつしかないだろ」

浩輔は気味の悪い笑みを顔に貼り付けながらベッドの上の這い、私の上にのしかかったかと思うと両肩を力いっぱい押さえ込んだ。

「こ、こうすけ……痛い……」

「痛いくらいが好きなんじゃねーの? 智乃、マゾだもんな」

浩輔はそう言うとクククッと下品な笑い声を上げ、ブラウスのボタンを引きちぎる。



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