敏腕社長に拾われました。

「虎之助、今、前から私とこうなりたいって……」

「ああ、言った。智乃を拾った五日前じゃないってこと。もう少し前」

虎之助はベッドにゴロンと寝転ぶと、「こっちに来い」と両手を広げる。偉そうに……と思いながらも、私は虎之助の胸にスルンと身を寄せた。

「終わったら話すって言ったしな、いろいろちゃんと説明しようと思ってるけど……」

「思ってるけど、何?」

「やっぱ腹空かない? 運動したからかなぁ」

虎之助は笑いながらそう言うと、腰のあたりをすり寄せた。

「もう、バカ!」

どうして、そういうことするかなぁ……。

裸の太腿のあたりに何かが当たって飛び起きると、布団を引っ張って体に巻きつける。

「今さら何恥ずかしがってんだよ。さっきいっぱい触ったでしょ?」

「さ、さ、触ってないし!」

動揺したら負けなのに、頭のなかで少し前までのことがリプレイされてしまい、どうにも困ってしまう。

「俺も智乃の体いっぱい触ったし、おあいこってことで。でもやっぱ腹減ったー。智乃、何か作ってよ」

「今から?」

時計を見れば、もうすぐ夜の十一時になろうとしている。

こんな時間に食べても大丈夫なのかな?

でも子供みたいにベッドの上で「お腹減った」と転がりまわる虎之助を見てたら、これは食べさせなきゃと母性が働く。

「わかった。なにか、消化の良さそうなもの作るね」

「やった!」

喜ぶ虎之助を見て、幸せな気持ちが満たされる。

ベッドの脇に落ちているパジャマを拾い上げるとそれを着て、キッチンへと急いだ。



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