敏腕社長に拾われました。
そんな私に虎之助はさっき取り上げた缶ビールを差し出すと、私の隣に当たり前のようにくっついて座る。
「はい、カンパーイ」
私の缶ビールに自分の缶ビールをコツンと当てると、虎之助は自分だけさっさとビールを飲み始めた。
「もう、勝手なんだから」
私も缶ビールのプルタブを開けると、それを半分ほど一気に飲む。
「俺の勝手は今に始まったことじゃないって、何度言えばわかるの? って、そんな一気に飲むなよ。今から話するんだから、飲み過ぎて寝るなよ」
虎之助は私からまた缶ビールを取り上げると、腰をギュッと抱き寄せた。
「缶ビール一本くらい、全然大丈夫なのに」
遊んでいたおもちゃを取り上げられた子供みたいに拗ねてみせると、虎之助は抱いている腰をさすって私をなだめる。
「話が済んだら、ゆっくり飲めばいいだろ? 俺の話、聞きたくない?」
「う~ん、聞きたい」
自分から身体を寄せると、虎之助の目を見た。