敏腕社長に拾われました。
「その、ひとりで勝手に悪い方へ考えるのって癖?」
「あぁ……」
確かにそうかも。虎之助の事となると、どんな些細な事にでも一喜一憂してしまう。最近それが度が過ぎるかなぁ……なんて、自分でも感じていたんだけど。
「ごめんなさい」
「別に謝る事ないけど。それだけ俺のことを好きってことでしょ?」
「そ、そういうことになる、のかな?」
虎之助の言うとおりなんだけど、恥ずかしすぎて素直にうなずけない。そういう言葉を恥ずかしげなく言える虎之助は、尊敬するというか立派というか。好きな人には一生懸命な私も、虎之助には敵わない。
「それにだ、いちいちそんな可愛い顔見せるな。理性がぶっ飛びそうになる」
「理性がぶっ飛ぶって……」
ぶっ飛んだら、虎之助どうなっちゃうの?
なんて思ってひとりで妄想して、体が熱くなっちゃう私ってどうなのよ……。
両手で顔を隠すと、虎之助のクスクス笑う声が耳に届いて、指の隙間から虎之助を見る。
「これだから、智乃との生活はやめられない。一生離してやらないから、今から覚悟しとけ」
そう言う虎之助が口角を上げてニヤリと笑うと、もう一度顔を隠した。