敏腕社長に拾われました。
「もう、いつもでもそんな可愛い顔してるんじゃないわよ。慎二さんがあなたのことを好きになったら、どう責任取ってくれるのよ?」
「はい!?」
小泉さんが、私を好きになる? ますます頭の中が混乱してきてしまった。
「朱音さん、早瀬さんが困ってるよ。それにだ、早瀬さんには悪いけど、僕は世界中の誰よりも朱音さんがいい」
「慎二さん……」
目の前のふたりがピンク色に染まり、空気が甘いモノへと変わる。
「あ、あのぉ……。ここでイチャイチャするの、やめてもらえませんか?」
愛しあうふたりの邪魔をするつもりはないけれど、ここはステーキハウスでまだ食事前だ。
「も、もう何言ってるの早瀬さんは! イチャイチャなんてしてませんっ!!」
「いや、今の私には酷な、甘い雰囲気でしたよ」
今度は私がからかってみせると、宮口さんが頬を膨らませた。
宮口さんの見たこともない顔に、私の体が一瞬固まる。
でも今日は思いがけず宮口さんの色んな面が垣間見れて、宮口さんの存在がまた近いものになったような、そんな気がした。