敏腕社長に拾われました。

なんて言葉で表すと、大げさかもしれないけれど。私の中では『決着』意外、思い当たる言葉がない。

あの詩織さんに自分の気持ちを伝えるということは、ある意味決闘。いわゆる戦いだ。

宣戦布告は詩織さんからで、最初こそ気迫に押されて完全ノックアウト。戦意喪失、負け犬のように虎之助の前から逃げて来ちゃったけれど。

宮口さんにガツンと言われて、やっと目が覚めた。

私には、力強い味方がいる。それに、虎之助も……。

彼の気持ちも何も考えないで、独りよがりの考えで行動してしまうなんて。本当のバカは私だ。

決戦は明日──

あの詩織さんのことだ、簡単には引き下がってくれないだろう。またうまく丸め込まれてそうになってしまうかもしれない。

でも、私は……。

手にしているスマホを力強く握り締めると、大きく深呼吸をする。

「虎之助だけは、誰にも渡さない。絶対に……」

目を閉じ呟くとそのままベッドに倒れこみ、相当疲れていたのかあっという間に眠りについた。



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