敏腕社長に拾われました。
いやいや、仮にもし襲われたとしたってだよ。処女じゃないんだし、エッチの一回や二回どうってことないじゃない。それでしばらく生き延びれるんだったら、お安いご用ってなもんだ。
……って私、結構あばずれなんじゃないだろうか。
「智乃? で、どうするの? 俺とここで暮らす? それとも……」
「暮らします! お世話になります!」
ソファーからパッと立つと、深く頭を下げた。
もうこうなったら、後は野となれ山となれ! その後のことなんて、知ったこっちゃない!
これでしばらくは路頭に迷うこともなくなるわけだし、ホッと一安心だ。
でも虎之助、『俺の会社で働け』って言ってたような……。
俺の会社?
ってことは、虎之助は社長さんってこと!?
バッと頭を上げると、室内をキョロキョロ見渡した。高級車に高級マンションも、社長さんなら納得。
でもこの部屋の中は……。
どう見ても“社長さん”って言うよりは、“男子学生の部屋”って感じ。
ダイニングテーブルやアンティークのチェストの上には空き缶やゴミが乱雑に転がっているし、椅子には脱ぎっぱな
しの服が掛けてある。フローリングの床にはあちらこちらに雑誌が高く積まれていて、今にも雪崩が起きそうな状態だ。