敏腕社長に拾われました。
まずは当面の住み家と食料、そして仕事は確保できた……。
うん? 仕事? 仕事って、一体何をするんだろう。
「ところで虎之助の会社って、どんな会社?」
「どんな会社って……」
虎之助は私から目線をそらすと、肝心なところを言い淀む。
そんな言いにくそうにするなんて、いかがわしい会社でも経営してるわけ?
そこら辺のこと何も聞かずに返事しちゃったけど、虎之助の顔を見ていたらちょっと不安になってきた。*
「私に言えないようなことしてる会社なの?」
疑いの目を向けてそう聞くと、虎之助は「ハハハッ」笑い出す。
「そんなことあるか、普通の会社だよ。でも今はヒミツ。明日行けば分かるから」
そう言って立ち上がると、虎之助は私のボストンバッグを掴む。
明日行けば分かる……かぁ。出来れば働く前に知りたかったけど。今は虎之助のことを、信じるしかなさそうだ。