敏腕社長に拾われました。
○虎の一字は衆妙の門

朝の六時にセットしたスマホの目覚ましがピピピッと音を鳴らすと、パチッと目が覚める。早起きは子供の頃から得意で、目覚めもとびっきりいい。

昨日虎之助と話が終わったあと連れて来られたのが、今寝ているこの部屋。10帖のベッドルームで、普段は友達が泊まりに来た時に使っているらしい。

『ゲストルームはまだふたつあるから、この部屋は智乃あげる』と言われた時は正直驚いたけれど、ベッドはスプリングが効いていて寝心地はいいし、ドレッサーやウォークインクローゼットもあって大満足。

「こんな部屋を賃貸で借りたら、いくらするんだろう」

考えただけでも恐ろしい。

ムクッと起き上がり、大きく背伸び。

昨晩はホッとしたのか、夕飯に虎之助が頼んでくれたデリバリーのピザを食べてお風呂に入ると、睡魔に襲われてあっという間に就寝。

ボストンバッグの中にパジャマや代わりになる服もなかったから、虎之助にTシャツを借りて着たんだけど。



< 28 / 248 >

この作品をシェア

pagetop