敏腕社長に拾われました。
でも長坂胡桃はもう慣れているのか、それとも怖いもの知らずなのか。
「朱音さん、その顔怖い~」
なんて、サラッと言ってしまう。
「怖くて結構。と言うか胡桃さん、私はあなたより八歳も歳上なんだから、ちゃんと敬語を使いなさい」
宮口さんに注意されても、長坂胡桃は「え~」っと反省の色が見えない。
っていうか、宮口さん今『八歳も歳上なんだから』って言った? 言ったよね?
長坂胡桃が二十二歳って言ってたから、宮口さんの年齢は……。
三十歳!?
あ~そうですか。もう少し上かなぁ~なんて思ってたけど。そうですか、三十歳ですか。
ひとり首を縦に振って変に納得していると、宮口さんが怪訝そうな顔をした。
「ちょっとあなた、何納得したような顔をしているの?」
「え? はい、あのぉ……。すみません」」
だから私は蛙なんだから、そんな怖い顔でこっちを見ないで下さい!
結局最後には、また謝ってしまう。
「まあ、いいわ。ところで早瀬さん」
強い口調で名前を呼ばれて、ピンッと背筋を伸ばす。
「つかぬことをお聞きしますが、久住社長とはどんなご関係?」
やっぱり来た!
そうじゃないかとは思っていたけど、この人も虎之助を狙ってるひとりなのね。