敏腕社長に拾われました。
受付の女性と言い宮口さんといい、なんで虎之助なの?
性格はどうであれ、ふたりとも綺麗で美人だし。確かに成長著しい会社の社長さんだけど、虎之助くらいの男ならどこにでも転がって……ないか。
でも虎之助じゃなくたって、宮口さんぐらいの美人ならイイオトコを捕まえられそうなのに。
でも宮口さんは虎之助に恋しちゃってるのか、私が何を答えるのか待ちわびている。
こんな時、なんて言うのが正解?
① ただの知り合いです。
② 親戚のお兄ちゃんで!
③ 友達以上、恋人未満。
おっと、③はないない。これじゃあ今後、恋に発達思想な雰囲気じゃない。
私と虎之助が恋人? 天と地がひっくり返っても、それはないわ~。
私と虎之助の関係は、長く続くものではない。お金が貯まれば、ジ・エンド。おさらばだ。
だったらやっぱり、①でいくのが無難な選択。
よし、これで行こう。
そう決めると、宮口さんの顔を真剣な眼差しで見つめた。
「以前お世話になりまして。ちょっとした知り合いです」
間違いじゃない。私は全然知らなかったけれど、クビになった会社の時お世話になっている。お世話と言っても、違う意味での“お世話”だけど。