敏腕社長に拾われました。

追い出されたアパート近くの公園で、ブランコに揺られながら自分の行動を思い返している。でも次第に、その動きをゆっくりと止めていった。

「あ、うん。結構、ウザいかも……」

よく考えてみたら、これは昨日今日始まったことじゃない。

浩輔と付き合うようになって二年とちょっと。その間私ったら、ずっとこの調子だったような気がする。

もし逆の立場だったら? 確かにウザい。相当ウザい。

こりゃ一本取られましたぁ~と、自分で自分の頭をペンペン。

「……なに一人芝居してんのよ」

ブランコに乗ったまま、ガックリと項垂れる。

私って、いつもそう。好きな人ができるとその人しか見えなくなって、相手のことなんてお構いなしに愛情表現フル活動。好きな人に尽くすのが女の務めと言わんばかりに、何から何までお世話してしまう。

「それで何度も失敗してるんだから、そろそろ学習すればいいのに」

そうは思っていても、学習は子供の頃から苦手で。優等生になったことのない私には、そこがなかなか難しい。



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