敏腕社長に拾われました。
「ということで。智乃には来週から正式に、ここで働いてもらうことが決まった。細かい指示は永田が、仕事の内容は朱音さんが教えてやって欲しい」
「分かりました。宮口さん、来週までにマニュアルを用意して頂けますか?」
「永田さん、分かりました」
虎之助の指示に、てきぱきと話を進めるふたり。
永田さんに宮口さん……。はぁ、そうですか。やっぱり、そのふたりなんですね。
文句を言ったところで、秘書室には私を除くと三人しかいない。だから必然的にそうなるわけで。
前途多難……。
虎之助の相手だけでも大変なのにこのふたりも加わるなんて、ホントに私大丈夫?
何度目かわからないため息をつくと、早速宮口さんが目を光らせた。
「早瀬さん、ため息つかない! ここは職場ですよ。正式な入社は来週でも、あなたはもうここの立派な一員です。もっとシャキッとして下さい、シャキッと!」
「は、はい!」
どうやら私のため息が、宮口さんのやる気スイッチを押してしまったみたい。
また出そうになったため息をグッと飲み込むと、バレないようにそっと息を吐いた。