敏腕社長に拾われました。

「あ~ビックリした」

エレベーターに乗り込むと、壁にもたれて息を吐く。

さっきの宮口さん、今日一迫力があって怖かったなぁ。何もあそこまで、怒ることないのに。でも宮口さんが顔色変えてまで怒るということは、きっと虎之助が関係してるってことだよね。

なんだか、嫌な予感。

エレベーターが一階に到着すると、受付の女の子と楽しそうに談笑している永田さんを発見。永田さんの表情に、歩みかけた足を止めた。

あの冷酷な瞳の奥に、あんな柔らかい瞳も持っていたなんて……。私に見せた顔とは、正反対の大違いじゃない。

私と彼女の、何が違うっていうのよ。そりゃね、その子のほうが可愛いし、スタイルいいし、肌ツヤもいいけどさ。私だってそこそこの顔だし、最近ニキロくらい痩せたし、ニキビの数も減って……。

あはは、大違い。

で、でもね、きっと性格は私のほうがいいはず。男も女も、見た目より中身で勝負っていうじゃない。

ひとり、戦う相手もいないのに意気込んでいると、永田さんの白い目。

「何をやっているんですか? 宮口さんには、早く来るように言ったんですけどね」

いつの間にか目の前にまで来ていて、私の頭の天辺からつま先までゆっくりと確認していった。



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