敏腕社長に拾われました。

どれくらいそうしていたんだろう。

気づけば公園には小さい子供を連れたママたちが集まっていて、不審そうな目でこっちを見ていた。

そりゃそうだろう。ボストンバッグひとつ携えて、自動販売機の前でしゃがみ込む女なんて、不審以外の何ものでもない。

でも今の私はどう見られようが、そんなことどうでもよくて。

この先私は、どう生きていけばいいのか──

そのことで、頭の中はいっぱいだ。

かと言って、いつまでもここでしゃがみ込んでいるわけにもいかないか。

五百円玉は諦らめて、交番にでも行ってみる?

あそこって、お金貸してくれないかなぁ……。

自嘲気味にフッと微笑むと、ヤル気のない身体を起こし始める。

すると、半分くらい立ち上がり中腰状態の私の前に一台の高級車が停まり、中から男の人が下りてきた。

この人も、朝コーヒーですか?

お、かなりのイケメンで素敵な人じゃない。しかも優しい視線を、私に投げかけてくれてる?

こんな惨め姿じゃなかったら、ちょっとお声でも掛けたいところなんだけど。さすがの私も、今はそんな気力は湧いてこない。



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