敏腕社長に拾われました。

ベッドから起き上がると、下着が入った袋に手を伸ばす。中から今日買ったブラジャーとショーツのセットを取り出すと、立ち上がってそれを服の上から胸元に当ててみた。

「なかなか良いんじゃないの」

ラベンダー色の生地にカップを縁どるチュールレースが女の子らしさをアップさせていて、今まであまりつけたことのないデザインだけど気に入っている。

まあこれも、虎之助が選んだようなものだけど……。

「おお、やっぱりいいじゃん。智乃によく似あってる。なんなら、今から付けてみる?」

ブラジャーを胸元に当てたまま声がした方を振り向くと、入口のドアに持たれかけてこっちを見ている虎之助と目が合った。

「な、なんで、そんなところにいるのよ! エッチ、スケベ、変態!」

「何言ってんだよ。ベッドの上に立って胸にブラジャー当ててる女に、そんなこと言われたくないね」

「うぅ……」

ブラジャーを胸から外し後ろ手に隠すと、虎之助を睨みつける。

「智乃が怒っても怖くないし。それより早くそれ、付けて見せてよ」

「なんで私が、虎之助に見せなきゃいけないのよ」

「だってそれ、俺が買ったんだし。まあそのうち、見せることになるだろうし」

「はあ!?」

確かに現時点では虎之助にお金払ってもらってるけど、それはちゃんと返すつもりだし。それに、そのうち見せることになるって一体どういう意味? なんで私が、虎之助に下衣姿を見せなきゃいけないわけ?



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