Doll
物語の最初は、俺の妹が、自分で作った人形が血だらけで帰って来た時だ



両親達は、妹にベッタリのその人形を気味悪がり彼を置いて引越しをした

はっきり言って、俺達当事者以外の奴らにとっては、迷惑以外の何物でも無かった


でも、あの時の親の判断はよかったのかもしれない


でも、後一歩足りなかったのも事実だ…



何故なら引越したその日に家は彼に見つかっていたからだ
俺はいつもどおりに、家の鍵でドアを開けようとした…しかし


「あ…あれ?」


差し込もうとしてから気がついた、家の鍵が…壊れている…
嫌な予感がして鞄を投げ捨て扉に手をかけ、一気に押し開いて飛び込むように入る

「っ!!!?」

入った瞬間、悪寒がするほど、濃厚な









鉄の香りが、鼻を…







「うっ…………げっほっ……」


喉を上がってくる、酸の味がする異物を、押し戻すだけで精一杯だった


「ッ!!……まさかっナイト…か?」


涙と汗だらけになった自分の顔を拭きながら、廊下に壊れた妹――レインの人形達を見る



そして、はっとする
自分の大切な人形も家に居る…


そう考えれば、すぐに腰から、退魔の小刀を取り出す


今この世界は、魔物に喰われている…只、奴らは体がない、だからそれを退治する為の武器がこれだ…だがまだ見習いなのでとても短い…でも長さは頼りないが、鞄に入っている鋏やカッター等よりは頼りになる筈だ…


でも、この刀を勝手に使ったのをばれたら辞めさせられるかもしれない…只でさえ、能力が上手く発動できないのだ…ありえない事はない


しかし、家族を助ける為だ、仕方がないんだ…

そう自分に言い聞かせ、嘔吐感を飲み込みながら足を中に入れて行く


この真っ正面が、俺の部屋だ…

涙を流しながら人形達や弟達の破片を見ないようにしながら避け小走りで自分の部屋の扉に手をかける……右の扉から…なにか固形化する直前の…水のような…


あの時見なければ…よかった、なんて……今更すぎたのだろう…






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