3つの視線、1つの物語
煌びやかな会場
楽しそうなお父様
それとは対照的な私
「本日はお招き頂きありがとうございます。…メルン様、私と一曲お願いできますか?」
また、ダンスのお誘い
でも、ごめんなさい
声が出せない程怖いんです
私は無言で首を横に振る
すると、どこかの国の王子は苦笑いで去っていく
さっきからコレの繰り返しだ
「姫様、いつまでそうしてるおつもりです?一度も踊らないなんて、格好がつきませんよ?」
私の様子に、お父様の近くに控えるコンフィーヌがため息混じりで言った
そして、そっと私の肩に触れてきた
「なんなら、私が一曲…」
「お父様…すみません。少し歩いてきます」
条件反射のように立ち上がり告げる
触らないで!
もう、嫌だ!
私は逃げるように会場の隅に逃げた
「…怖いよ…」
隅の隅に逃げて気配を消し俯く
俯くと、目から涙が零れた