3つの視線、1つの物語

「ノア…怖いよ…助けてよ…」


無理なのは分かってる
ノアがここに来れないのも分かってる

でも、助けを呼ばずにはいられない


「うわぁ、本当に綺麗なお姫様だー」


気配を消して俯いていた私は、急に声を掛けられ驚いた


「?!」


顔を上げると同じ歳くらいの男の人がいた
ブロンドの髪に整った顔
ちょっとノアに似てる

たぶん王子なんだろうけど…誰?


「あ、失礼しました。僕は、エトア国の王子、エトワールです」


驚いて固まってると、王子は自己紹介してきた
でも、私はそれどころじゃない

距離が近い
手足が震えるのが分かる


「えっと…あ、あの…」


視野が歪んでいく
怖い、本格的に泣きそうだ


「あ、ごめん!そうだよね、急にごめんね!あわわわわっ、アイツ何してんだよ!早く来いよー」


エトワール王子が慌ててるのが分かる
でも、私の涙腺はどんどん緩んでいく



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