3つの視線、1つの物語
「えっと…改めて…姫様、何か御用ですか?」
シャツのボタンを留めると、姫様がゆっくり俺に近づいて来た
「………」
無言のまま俺の前で俯き黙っている姫様
微かに肩が震えてる
怖いのに必死に耐えているのが分かる
「姫様…無理しないでいいですよ?」
なんで姫様がここに来たのか分からないけど…
無理は良くない
「俺は姫様を怖がらせる為に来たんじゃない。姫様を守るために来たんです。だから、無理しないでください?」
男性恐怖症は姫様のペースで治していけば良い
体が震える程怖いのに無理する必要はない
俺の言葉に姫様がピクリと反応して、ゆっくり顔を上げた
「ごめんなさい…私、ノアのこと…叩いちゃった…ノア、助けてくれたのに…」
姫様の言葉に少し驚いた
姫様は謝りに来たのか
怖いのに、我慢して…