3つの視線、1つの物語
男性恐怖症の原因
桃の木転落事件から姫様は心を開いてくれたらしい
俺を頼ってくれるし
ある程度なら近付いても大丈夫だし
会話も目を見ながら普通に出来る
すごい進歩だ
そんな姫様から今日も小さなお願いをされる
「ノア、お散歩がしたいの。着いて来てくれる?」
「はい、どこに行かれるんです?」
「桃の庭」
「わかりました」
後から聞いた話
あの桃の木は、姫様が母様と過ごした思い出の場所らしい
そして、そこは姫様のお気に入りの場所
「レディナもおいで」
「にゃー」
姫様を連れて桃の木に行くのに、愛猫のレディナを置いていくのは可哀想
だから、レディナも連れて行く
もちろん、抱っこして
あー…ふわふわ…
レディナ可愛い…
「レディナって…ノアの抱っこ好きだよね」
「にゃー」
ちょっと、冷めた声で姫様が言うとレディナがそれに答えた
そっか、レディナ…
俺の抱っこ好きなのか
まったく、可愛いヤツだなぁ