3つの視線、1つの物語

ドサッ
カランっ


思わず目を瞑ってしまった
人が落ちた音
折れた木の枝が落ちた音が聞こえた


メルンが落ちた…

わ、私を助けようとして…


「いっ……ぅ…」


え?
メルンの声じゃない


「姫様…お怪我はありませんか?」


その声に、驚いて木の下を見ると
メルンの下敷きになるノアの姿があった

ノアがメルンを受け止めてくれたらしい
よ、よかったー…


「ぁ…ぁ…」


あ、よくないかも…
メルンは男の人に触られるの駄目だった


「いやぁーー!!」

「ぇ…姫様っ?!」


バチーンっ


桃の木のある庭に乾いた音が響いた

< 23 / 324 >

この作品をシェア

pagetop