3つの視線、1つの物語

姫様の様子を見ながら練習をする


「右に一歩、後ろに二歩…そうです」


所々で戸惑うものの、基本の流れは覚えているらしい

とても教えやすい


「ノア…上手だね?」


音楽に合わせて踊っていると姫様が言った
まぁ…散々やらされたからね


「まぁ…練習しましたしね」


覚えの悪いエトに強制的に練習相手にさせられ、無理矢理女性パートを踊らされた過去を思い出す

あー、嫌なこと思い出しちゃった


「それにしても…やっぱりダンスって近いね?」


ポツリと呟く姫様
そんな姫様との距離は、曲の流れによって限りなくゼロに近い

近距離で見つめ合ってる状態だ


「まぁ…ダンスですからねー」


そう言うと、姫様の目が不安に揺れた
多分、当日の事を考えてしまったんだろうな

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