3つの視線、1つの物語

メルンは猫用ミルクをタオルに含ませて、黒猫の口元に持っていく

すると、黒猫は目を閉じたまま口を動かしてタオルに吸い付いた


「よかった…ミルクを飲む元気はあるね」


しばらく、タオルからミルクを飲み続ける黒猫
少しだけ元気も出てきたみたいだ


「…ココはどこだ?」


ミルクを飲んだ黒猫は顔を上げてキョロキョロした


「ココはフルクライト国だよ。あなたは、誰?どーしてこんな所に居たの?」


私が尋ねると黒猫はジーっと私を見てきた
な、何よ…?


「…可愛い」

「は?」


黒猫が謎の発言をする
困っていると部屋の扉が再び開いた


「ごめんね、メルン…急に頼んで。黒猫は?」

「ミルクいっぱい飲んだら元気出たみたい。ノアは何だったの?急にお父様に呼ばれてたけど…」

「ちょっと頼まれ事をね…」


なるほど、急にメルンがココに来たのはノアに頼まれたからだったのか


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