贈り物は首輪です




「………オネガイシマス」



心の中で全力でお断りしながらも、私は上嗣さんに赤い首輪を手渡した。


あぁ、上嗣さんと付き合ってから私の中の黒歴史が増えたような気がする。


「少しおとなしくしててねー」と上機嫌の上嗣さんに対して、私のテンションは底辺を飛行中だ。



「でーきた。うん。よく似合ってるよ、リンちゃん」


「……アリガトウゴザイマス」



うん。他意はない。ないはずだ。


渡された手鏡を覗いてみると、赤い首輪をした自分の姿が。


意外にヘンじゃないとか思った自分爆死してしまえ。



「あーリンちゃんはかわいいなぁ」



むぎゅーっと上嗣さんに後ろから抱きしめられる。


ちょ、嫌じゃないけどあまり体重をかけないでほしい。


倒れそうです倒れそうです。


内心葛藤中の私の心境なんか露知らず。


上嗣さんはむぎゅむぎゅと私をその腕の中に閉じ込める。






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