贈り物は首輪です
羞恥心を捨てれば嬉しいことこの上ないシチュエーションだ。
もちろん、捨てればの話だ。
人間そんな簡単に羞恥を捨てられるわけがない。
「そうだリンちゃん」
次はなんだと思えば、上嗣さんは私の前に座る。
「はい」
「はい?」
差し出されたのは手。
何がしたいんだ。
思わずその手と上嗣さんの顔を交互に見つめる。
恐る恐るその手に自分の右手を乗せれば褒められた。
…………あ、お手がしたかったのか。
納得した同時に犬扱いされていると分かり、言い様もない感情になった。
よしよしといつも通りに撫でられる頭も、どこか犬扱いのような気がする。
最も、被害妄想かもしれないけど。
「リーンちゃん、おいでー?」
少し離れたところから私を呼ぶその姿は完全に私を犬扱いしている。
それでも輝く爽やかスマイルに苛ついてしまった。