ギャンブルワールド

直感とオカルト

「ふぅ」と言いながら帰宅した嵐。


嵐は一人暮らしが長かった為、「ただいま」と言わない。


今まで嵐は基本的に1人…孤独だった。



月の収支が悪くても今までは誰にも愚痴を言うことなく過ごしてきた。


そして嵐はいつの間にか、弱気な言葉を人に言わない人間なっていた。



喉が乾いていたので冷蔵庫を開けて、水を飲む。

今度の勝負は軍団が束になっても勝てると嵐は感じている。だが、勝つために調べる事が多い。


まずは軍団のメンバーの事。どんな打ち方、立ち回りをするのか。


次に店の設定状況。店長の店で打つんだ、「店長から設定を教えてもらえば良いんじゃね?」と思う人がいるかも知れないが、それは勝負とは言わない。


本当の勝負とは他人の力を借りずに己の力で戦うことである。

そんな嵐だから軍団というのが嫌いなのだ。



「あ、嵐さん。帰ったんなら『ただいま』ぐらい言ってよー。」


浴衣の上からエプロンを着けた澪が嵐に注意をする。


澪からすれば二人で暮らしているから「ただいま」は絶対に言ってもらいたいみたいだ。


「悪いな。」

そう言い部屋に戻る嵐。

嵐は考え事で少し疲れ気味である。

「あ…うん。」

澪も嵐の顔を見て、これ以上何も言わなかった。



嵐は自分の部屋に入り、パソコンを起動する。


今度、勝負する店長の店のここ一週間の出玉を見るのだ。


これを見たら、どんな感じに出ているのか、設定を入れているのか大体分かる。

幸いな事に、店長の店は軍団の影響で客が減っても、他の店より圧倒的に客付きが良い。


回転数があるから、回転数が少ない台より設定が多少分かりやすい。




そして、その次に軍団の奴らの打ち方だが、これはパソコンでも分からないだろう。


直接、店で軍団員を監視すれば良いんだが、それだと嵐自身が周りの客からウザがられる。


人に迷惑かけるわけにもいかない。店長から教えてもらうわけにもいかない。


そうなるとデータと自分の勝負運が全てである。


その為、台選びがかなり重要になる。


3時間しかない勝負なんだ。最初に座った台で出さないと多分、時間がなくなる。


それもちゃんと頭に入れて打たねばならない。


「3時間…3時間で爆裂する台…。最近の台で何がある…?」


難しい顔をしながら考える嵐。


その時、嵐の部屋に澪が入ってきた。
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