冷徹なカレは溺甘オオカミ
番外編:印南大智の回想録
「大智くん」
いとしい声が、俺の名前を呼んでいる。
だけどどうにもまぶたが重くて、その声に応えることができない。
「大智くん、ホットケーキ、焼けたよ」
彼女の言葉を肯定するように、どこからかただよう甘いにおい。
そうだ、俺がさっき、小腹すいたって我侭を言ったんだった。
「やっぱり、まつげ長いなあ……」
それ、柊華さんしょっちゅう言ってるやつ。
あなたの方がよっぽど長いし、綺麗ですよ。
「……よし!」
……なにが、『よし』?
『ハジマリは業務命令』番外編
~ 印南大智の回想録 ~