心の傷と爪痕を辿って

あたしはさっさとそこから立ち去りたくて
麗奈の手を引いて走り出そうとした時、
少し離れた場所からこっちを見てる一人の女性がいた。

「あ…」

思わず声に出てしまった。

「どうしたの?」

いきなり停止したあたしに麗奈が尋ねる。

その女の人はあたしと目が合うと、
すぐにそらして何処かへ行ってしまった。


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