心の傷と爪痕を辿って
「何ですか?」
あたしは村上さんに訪ねた。
「お母さん、
探してるみたいね。」
ドキッとした。
「お母さんって言うか…
親を…」
「そう…」
少し溜め息混じりに目を伏せた村上さん。
「どうして…ですか?」
探している事を知っている事と、
探す事に対してあまり賛成していないという事の
両方を詰め込んで、
聞いてみた。
「何となく、ね。」
あまりにも曖昧な言葉。
「………。」
納得いかなそうなあたしに気付いたのか、
村上さんは続ける。
「あまり詮索しない方が、
菜実ちゃんの為よ。」
優しく語りかける強い目が、
あの時の麗奈と重なり、
あたしは俯いてしまった。
「ね?」