俺が一生愛してやる!!



「アイツ、ちょっとした有名人なんだぜ。」


「どうして…。」


「だってさ、靴見て見ろよ。」


言われた通り、高梨の靴を見てみる。


「汚れてるな…。」


遠目からでも分かる。


泥だらけの靴。


「靴だけじゃないぜ、制服だってボロボロなんだぜ。」


「どうしてあんなに汚れて…。」


「超ド級の貧乏らしいぜ。母親が蒸発して、父親も働いてなくて金ないんだってさ。」


「貧乏…。」


俺は仲間の話を聞きながらも高梨から視線を外せないでいた。


あっ!


ふいに高梨がゆっくりとこちらを向いてきた。


視線が合うか合わないかのタイミングで思わず目を逸らす。


「クラスでもいじめられる以前の問題で、気持ち悪いから誰も近寄らないんだってさ。」


「何だか…、可哀想だな。」


もし、誰も近寄らない原因が貧乏、と言う事だけなら、彼女自身には問題はないと思う。


それなのに、皆で冷たい目で見るのは可哀想、だと思う。


「そうそう、可哀想な奴なんだぜ。だから俊樹も関わらない方がいいぞ。」


「あ、ああ…。」


< 5 / 31 >

この作品をシェア

pagetop